白に近い紫
2002年10月11日今日は小雨が降ったり止んだりする中を、街まで歩いた。
銀行に用事があって、丁度バスをミスった所だったので、
30分の道のりを歩く事にした。街とは言っても、飲食店と
工芸品店が数件、アウトドア用品店、古本屋、薬局、銀行が
各一軒あるぐらいの田舎町。その周辺も住宅街と言うよりは、
森の中に家が点在している、と言った方が正確かもしれない。
道はうねる様にして街まで降りていき、道端の大きな木々は
街路樹では無く、森の一部だと分かる。家屋はどれも木々の
てっぺんより低いので、遠くの丘の上から見れば、この一帯は
手付かずの森林に見えるのだろう。
その中の一軒に目が止まった。こぢんまりとした二階建ての
家で、外壁は白に近い程の薄い紫色だった。それだけなら
パステル調の塗装を持つ回りの多くの家々と区別が付かなかった
だろうけど、入り口の横にもみじの木が一本立っていた。
その葉が燃えるような見事な赤色に染まっていて、道路から
見ると家の薄い紫が紅葉の色を引き立たせていた。住人が何故
その色を選んだか分かった様な気がした。
夏には森の濃い緑に対して涼しく、秋には紅葉を引き立たせ、
冬には雪より濃い紫。湿った落ち葉の匂いを嗅ぎながら、僕も
そんな色の家に住むぜいたくを味わってみたいと思った。
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